「軽減税率」で私たちの負担は軽くなる?~2017年4月の消費税10%と同時導入か?~

            
2017年4月に導入が検討されている「軽減税率」

2017年4月に、日本の消費税率(地方消費税率との合計。以下「消費税率」と表記します)は、8%から10%に引き上げられます。そしてご存知の通り、このタイミングに併せて「軽減税率」の導入が検討されています。

この原稿を作成している2015年12月上旬の時点では、「消費税率を10%に引き上げる際に、生鮮食料品や加工食品について軽減税率8%を適用する」という案が検討されているそうです。

そもそも消費税率の引き上げは、国債の償還・利払いや増え続ける社会保障費の負担などによって大変厳しくなっている国の財政健全化のために、実施するものです。当初予定の2015年10月から、政治判断によって2017年4月へ実施が延期されました。また税率の引き上げに伴う増収分は、すべて社会保障の財源とする、ということでもありました。

軽減税率の導入には賛否両論あります。各種の世論調査では、導入に賛成とする回答が多いようです。経済団体などからは、導入に反対とする意見表明が見られます。

軽減税率 導入のねらい(※1) 軽減税率 導入反対の主な理由(※1)
  • 消費税率の引き上げに対する国民の理解を得る。
  • 低所得者の暮らしを守る。
  • 消費税率の引き上げに伴う、個人消費の低迷、景気への悪影響を緩和する。
  • 現場における事務負荷が高い。
  • 対象品目の設定が難しい。
  • 税収は減り、徴税コストが上がる。
  • 低所得者対策として、効率的でない(給付金支給の方が効率的)。

※1 各種ウェブサイトの記載を元にソニーライフ・エイゴン生命でとりまとめ

            
軽減税率で家計の負担はどれくらい軽くなる?

この2017年4月の消費税率引き上げと、実現するかもしれない軽減税率の導入は、家計にどの程度の影響が及ぶのか、総務省統計局が公表している「平成26年家計調査年報」に照らして考えてみます。

ここでは、軽減税率の導入のねらいの一つ「低所得者の暮らしを守る」こと、またこのページの主題であるライフプランニングに関わる内容であることから、「低所得者」「高齢者」の家計の負担を、次の前提で検討します。

  • 消費税率引き上げに伴い、月平均の消費支出は単純計算で108のものが110に増えるものとします(個別の費目について消費税の課税・非課税を考慮していません)。
  • 軽減税率は「外食と酒類を除く食料品」に適用されるものとし、消費支出のうち「外食・酒類を除く食料品」各項目の支出は据え置き、「外食」「酒類」および食費以外の項目の支出は108のものが110に増えるものとします。
  • 「低所得者」に代えて年間収入334万円以下の世帯、「高齢者」に代えて世帯主年齢65-69歳および70歳以上の世帯について、上記設定での消費支出の変化を確認します。

この結果、消費税率の引き上げによる負担増が「低所得者」の家計で月々およそ3,500円、「高齢者」の家計で月々およそ4,500円~5,000円と見込まれました。
一方で、そのときの軽減税率による負担減が「低所得者」の家計で月々およそ850円、「高齢者」の家計で月々およそ1,000円と見込まれました。

平成26年家計調査年報
(家計支出編)二人以上の世帯
消費支出 単純計算による税率引き上げ後の消費支出
(差額)
軽減税率適用後の消費支出
(単純計算との差額)
「低所得者」に代え、
年間収入334万円以下
193,206円 196,783円
(+3,577円)
195,926円
(▲857円)
「高齢者」に代え、
世帯主年齢65-69歳
287,893円 293,224円
(+5,331円)
292,130円
(▲1,094円)
「高齢者」に代え、
世帯主年齢70歳以上
241,266円 245,733円
(+4,467円)
244,721円
(▲1,012円)

[出所] 総務省統計局「平成26年家計調査年報(家計支出編)」をもとに、一部をソニーライフ・エイゴン生命にて計算して表示(1円未満切り捨て)

            
軽減税率~諸外国の場合~

なお、2015年1月現在の、世界各国の付加価値税(日本の消費税に相当します)の税率(標準税率)と軽減税率が、財務省のホームページで紹介されています。各国の標準税率および軽減税率を日本の消費税率と比べると、次の状況がうかがえます。

  • 付加価値税の標準税率に対する日本の消費税率8%は、世界では低い部類である。
  • 軽減税率を導入している各国の標準税率は、15%以上が多い。
  • 各国の標準税率と軽減税率の差(下記の棒グラフの白色棒の部分)は、日本で現在検討されている2%よりも大きい。
付加価値税率(標準税率及び食料品に対する適用税率)の国際比較
世界各国の付加価値税の税率(標準税率)と軽減税率
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備考
  • 日本の消費税率8%のうち、1.7%相当は地方消費税(地方税)である。
  • カナダにおいては、連邦の財貨・サービス税(付加価値税)の他に、ほとんどの州で州の付加価値税等が課される(例:オンタリオ州 8%)。
  • アメリカは、州、郡、市により小売売上税が課されている(例:ニューヨーク州及びニューヨーク市の合計 8.875%)。
  • 上記の棒グラフの青色棒の部分が食料品に係る適用税率である。なお、軽減税率が適用される食料品の範囲は各国ごとに異なり、食料品によっては上記以外の取扱いとなる場合がある(中国、韓国、インドネシアは、一部の食料品について非課税となる場合あり)。
  • EC指令においては、ゼロ税率及び5%未満の軽減税率は否定する考え方が採られている。

[出所] 財務省ウェブサイト(各国大使館聞き取り調査、欧州連合及び各国政府ホームページ等による。)

日本に軽減税率が導入される際には、ぜひ有効な制度になってほしいものです。




※ このページの内容は、平成27年12月現在の状況に基づいて執筆されています。

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